パーキンソン病の教科書
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よくある質問(FAQ)

患者さん・ご家族からよく寄せられる質問への回答

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こんな方に: 一問一答で知りたい方
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このFAQについて

診療現場や患者会で、よく寄せられる質問をまとめました。
個別の診断・治療については、必ず主治医にご相談ください。

診断・基礎知識について

Q. パーキンソン病は治りますか?

A. 現時点では、完治する治療法はありません。しかし、薬とリハビリでコントロールしながら、長く穏やかに過ごすことは十分に可能です。[1]

近年は治療法の研究が進んでおり、デバイス治療(DBS・LCIG・皮下注など)や、新しい薬の開発も続いています。「諦める病気」ではないと、私たちは考えています。

→ 第 1 章を参照

Q. パーキンソン病は遺伝しますか?

A. 大多数の症例は遺伝とは関係ない「孤発性」です。一部に家族性(遺伝性)のパーキンソン病もありますが、全体の数 % 程度とされます。[1]

家族にパーキンソン病の方がいるからといって、必ず発症するわけではありません。心配な方は、神経内科専門医に相談を。

Q. 寿命はどれくらいですか?

A. 適切な治療を受けていれば、寿命を大きく縮める病気ではないとされています。健康な方と比べて平均寿命がやや短いとする報告もありますが、過度に悲観する必要はありません。[2]

→ 第 1 章を参照

Q. パーキンソン病とパーキンソン症候群はどう違うのですか?

A. 「パーキンソン症候群(パーキンソニズム)」は、パーキンソン病に似た症状を起こす疾患の総称です。薬剤性、脳血管性、進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)など、複数の原因があります。[1]

専門医による正確な診断が大切です。

→ 第 1 章を参照


薬について

Q. 薬は一度始めたら、ずっと飲み続けないといけないんですか?

A. 基本的にはそうです。薬は 足りないドパミンを補う ためのものなので、止めるとドパミン不足が再発します。

ただし、「症状が軽い段階で薬を始めるべきか、もう少し待つべきか」は議論があり、主治医と相談しながら決めることが多いです。[3]

Q. L-ドパは「最後の切り札」と聞きました。早く使うと効かなくなるんですか?

A. かつてはそういう考え方がありましたが、現在のガイドラインでは「症状を見て必要なら早期から L-ドパを使う」 ことが推奨されています。[3]

L-ドパが効かなくなるのではなく、「数年経つとウェアリング・オフやジスキネジアが出やすくなる」というのが正確です。

→ 第 3 章を参照

Q. 薬を急に止めたらどうなりますか?

A. 絶対に急に止めないでください。「悪性症候群」という命に関わる症状が出ることがあります。[4]

通院できないときや手術前など、必ず主治医に相談してください。

→ 第 3 章を参照

Q. 副作用が心配です。薬を減らしたいのですが。

A. ご自身の判断で減らすのは危険です。副作用が辛いことを主治医に伝えれば、薬の種類や量を調整してくれます。

「先生に悪いから」と言わないと、適切な調整ができません。遠慮なく伝えてください


リハビリ・運動について

Q. リハビリは本当に効きますか?

A. パーキンソン病に対する運動療法・リハビリは、診療ガイドラインで一貫して推奨されています。[5] 運動が脳の構造・機能にポジティブな変化をもたらすことを示唆する研究も増えています。[6]

ただし「どの運動が、どれくらいの期間で、どれくらい効くか」については、まだ研究が進んでいる段階です。

「やらないより、やったほうが良い」ことは確かです。

→ 第 4 章、第 7 章を参照

Q. どんな運動がおすすめですか?

A. パーキンソン病に良いとされる運動は、

  • ウォーキング
  • 自転車エルゴメーター
  • ストレッチ・ヨガ
  • 太極拳・ダンス
  • 水中運動
  • LSVT-BIG など専門プログラム

など、有酸素運動と動きの大きさを意識したもの全般です。[5]

「自分が楽しくて続けられるもの」を選ぶのが、長続きの秘訣です。

→ 第 4 章、第 7 章を参照

Q. 運動して疲れすぎないか心配です。

A. 「ちょっとキツい」と感じるくらいが効果的ですが、痛みや動悸が強いほど無理をするのは禁物です。

オン状態(薬が効いている時間)に行い、無理せず、毎日続ける — これが基本です。

→ 第 7 章を参照


制度・生活について

Q. 医療費助成はどこで申請しますか?

A. 最寄りの保健所 が窓口です。[7] 主治医が記入する「臨床調査個人票」が必要なので、まず主治医に相談してください。

→ 第 2 章、第 10 章を参照

Q. 介護保険は何歳から使えますか?

A. パーキンソン病は介護保険の 特定疾病 に該当するため、40 歳から申請可能 です。

「介護保険 = 寝たきり」ではなく、訪問リハビリや福祉用具レンタルにも使えます。

→ 第 10 章を参照

Q. 仕事は続けられますか?

A. ヤール I〜II 度の段階では、多くの方が仕事を継続できます。[1]

業務内容によっては配置転換や勤務時間の調整が必要になることもあります。職場に病気を伝えるかどうかは、慎重に考えて決めてください。

→ 第 2 章、第 10 章を参照

Q. 運転は続けてもいいですか?

A. 症状の段階によります。

  • 振戦・無動が運転に支障する場合
  • ジスキネジアが出ている時間帯
  • 突発睡眠の副作用がある薬を飲んでいる場合
  • 認知機能の低下がある場合

これらは事故のリスクとなります。主治医と相談しながら判断 してください。

→ 第 9 章、第 10 章を参照


食事・生活について

Q. お肉は食べてもいいですか?

A. 食べてください。たんぱく質は筋肉維持に必須です。

ただし、L-ドパとの吸収を取り合う ため、薬を飲んでから 30 分〜1 時間はたんぱく質を控えるのがおすすめです。

→ 第 8 章を参照

Q. お酒は飲んでもいいですか?

A. 一概に禁止ではありませんが、

  • 薬の効きに影響する可能性
  • 転倒のリスク増
  • 睡眠の質低下

などのリスクがあります。少量で楽しむ程度にとどめ、不安があれば主治医に相談を。

Q. コーヒーは飲んでも大丈夫ですか?

A. カフェインがパーキンソン病に 保護的に働く 可能性を示唆する研究もあります。[8]

ただし、薬との相互作用や睡眠への影響もあるため、飲み過ぎは禁物。1 日 2〜3 杯程度を目安に、ご自身の体調と相談してください。


心の問題について

Q. 最近、何にもやる気が出ません。これは病気のせいですか?

A. 性格や怠けではなく、パーキンソン病の症状の一つである アパシーうつ症状 の可能性があります。[9]

主治医に相談してください。お薬や生活の工夫で改善することがあります。

→ 第 10 章を参照

Q. 家族との関係がぎくしゃくしてきました。

A. 病気に向き合う中で、家族関係が変化するのは珍しいことではありません。

  • 同じ病気の方の家族会に参加してみる
  • 医療ソーシャルワーカーや心理士に相談する
  • 家族で一緒に専門家の話を聞く機会を作る

一人で抱え込まないでください。

→ 第 10 章、第 11 章を参照


その他

Q. セカンドオピニオンを受けたいです。主治医に悪いと思って言い出せません。

A. セカンドオピニオンは患者の正当な権利です。多くの主治医はむしろ「複数の意見を聞くのは良いこと」と考えてくれます。[10]

「いまの治療方針について、別の専門家の意見も聞きたい」と素直に伝えれば、紹介状を書いてくれるはずです。

→ 第 2 章を参照

Q. 民間療法やサプリメントは効きますか?

A. 一部のサプリメント(コエンザイム Q10 など)について研究はありますが、現時点でパーキンソン病を治す効果が確立した民間療法はありません

「これで治った!」を謳う高額商品には、特に注意してください。気になるものがあれば、必ず主治医に相談を。

Q. 治験には参加できますか?

A. 治験は、新しい治療法を確立するための重要なプロセスです。

  • 病院から打診される場合
  • ご自分から探す場合(治験情報サイトなど)

参加には条件があり、必ずしも全員が参加できるわけではありません。興味があれば主治医に相談してください。



参考文献

[1] 難病情報センター. パーキンソン病(指定難病 6). https://www.nanbyou.or.jp/entry/169

[2] Bloem BR, et al. Parkinson's disease. Lancet. 2021;397(10291):2284-2303. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33848468/

[3] 日本神経学会. パーキンソン病診療ガイドライン 2018. https://www.neurology-jp.org/guidelinem/parkinson_2018.html

[4] Onofrj M, Thomas A. Acute akinesia in Parkinson disease. Neurology. 2005;64(7):1162-1169.

[5] Mak MK, et al. Long-term effects of exercise and physical therapy in people with Parkinson disease. Nature Reviews Neurology. 2017;13(11):689-703.

[6] Hirsch MA, et al. Exercise-Induced Neuroplasticity in Parkinson's Disease. Neural Plasticity. 2018;2018:2748131.

[7] 難病情報センター. 指定難病患者への医療費助成制度のご案内. https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460

[8] Costa J, et al. Caffeine exposure and the risk of Parkinson's disease: a systematic review and meta-analysis of observational studies. Journal of Alzheimer's Disease. 2010;20 Suppl 1:S221-S238.

[9] Reijnders JS, et al. A systematic review of prevalence studies of depression in Parkinson's disease. Movement Disorders. 2008;23(2):183-189.

[10] 東京都立神経病院. セカンドオピニオンのご案内. https://www.tmhp.jp/shinkei/outpatient/second-opinion.html

医療免責

本FAQの内容は一般的な解説であり、個別の診断・治療方針の代替ではありません。
ご自身の症状や治療については、必ず主治医にご相談ください。

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